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魂の落書き 〜おでんまちのひ 店主の日記〜

魂の落書き 〜おでんまちのひ 店主の日記〜

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『BLUE GIANT』を観て

映画『BLUE GIANT』を観た。

『BLUE GIANT』(ブルージャイアント)は、石塚真一によりビックコミックで連載された漫画で、主人公の宮本大が世界一のサックスプレイヤーを目指して奮闘するサクセスストーリーだ(と一言で片づけるのは野暮かもしれないが)。その原作をアニメ化したものが、映画『BLUE GIANT』で、評判もいいので、先日のオフの日に観にいった。

で、感想だが、

よかった。

ものすごくよかった。

今まで観た映画の中で、一番泣いたかもしれない。去年観た『20歳のソウル』も泣いたけど、あれは悲しい映画で、しかも実話だから、そりゃあ泣くよね、って話で、感涙した映画って意味では今回観た『ブルージャイアント』が最高だろう。

同じくこの映画を観たっていうお客さんもたくさんいて、そのうちの1人が、漫画『BLUE GIANT』を貸してくれた。映画に感動して、その足でブックオフにいって全巻揃えたのだそうだ。まず弟さんに貸して、その後にぼくに貸してくれた。

映画もよかったけど、漫画もまたいい。

2時間に凝縮する映画とちがって漫画はかなりの細部まで描かれているから、登場人物への感情移入もより深くなる。主人公の大がガソリンスタンドのアルバイトで奮闘するシーンや、音楽の先生とのやりとりを描くシーンや、一人だけ大学受験に落ちてしまった友人を励ますシーンや、そういう些細な場面にも感涙してしまう。

まだ4巻までしか読んでいなくて、物語の舞台は仙台、大は高校生だ。ほとんどの生徒が大学受験に挑んでいるから、進学校なのだろう。

友人たちが大学受験をする一方で、大は一人東京行きを決意する。

そう、世界一のサックスブレーヤーになるために。

そうなのだ。この漫画のキーワードはズバリ『世界一』だ。主人公の大はことあるごとに世界一、と口にする。世界一になる、世界一のジャズプレーヤーになる、と。

口だけでなく、全身全霊でそれを実現させようとしている。世界一のジャズプレーヤーになるための努力や挑戦が、並大抵ではないのだ。だから言葉に厚みがあるし、その熱で周囲を巻きこんでいくのだろう。

世界一。

なんて熱い言葉だろう。ものすごくでっかい夢だろう。

遠い昔、ぼくもまた大と同じ高校生だった。世界一とは口にしなかったけど、ビッグになるぜ、が口ぐせのクソガキだった。夢はあったし、その夢を追いかけて、そのためだけに生きていた。

その夢はしかし、かなうことはなかった。

そして今、とある下町でおでん屋をやっている。経営者といえば聞こえはいいが、実際は従業員一人いない小さな店の一人親方だ。ビッグになるどころか、食っていくのが精一杯という、ちっぽけな人生。世界一なんて、夢のまた夢だ。

あの頃の自分を振り返ってみて、もうちょっとがんばれたなあとか、もっと戦えたなあとか、そんなふうに思うこともある。もう少しうまくやれたよなとか、人の手を借りてもよかったよなあとか、あそこで逃げずに勝負をしかけてもよかったなあとか。だけどあの頃はあの頃なりに全身全霊をぶつけてやっていたわけで、だから振り返ってああだこうだ考えたって意味はないのだ。結局はぼくに夢をつかむ何かが足りなかった、それだけなのだ。

で、おでん屋の店主におさまった。くり返すが、大の人生と比べて、ちっぽけな人生だ。

だけど、だけど、だ。小さなおでん屋だけど、それでも多くの人たちに愛されている実感がある。それだけで、ぼくはじゅうぶん幸せだ。

それに、こうも考えられる。

うちの店にかようお客さんの誰かが、ぼくの店を世界で一番好きな店だと思ってくれるなら……

それはそれで世界一といえるのではないか。

まあぼくの話はいいか。大のこれからの人生、正真正銘の世界一になっていくであろう軌跡を応援しようと思う。これを書き終えたら、第5巻を読みはじめるとするか。





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人生をもっと濃密にしよう

今、目の前で何が起きているか。

あるいは、自分は今、何を見ているか。

何をしているか。

誰と向き合っているのか。

たとえば、それが一見、退屈に思えるいつもとかわらない日常のひとコマでも、それほど親しくもない人との意味のない対話でも、すべては今の自分が手にしている現実だ。

すなわち、自分の人生のワンシーンだ。

いや、今この瞬間にそれが起こっているなら、それは人生のワンシーンなんかじゃなく、人生そのものなのだ。

もっといえば、それこそが命なのだ。

だから、

今、目の前にあるものをもっとたいせつにしよう。

自分にとってあまり重要ではないと思える出来事でも、もっと重く受けとめよう。

たいした感情を持っていない相手でも、もっともっと愛を持って接しよう。

それが、人生を濃密にするただ一つのすべだから。

命をたいせつにするということだから。
 
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