世の中がどんなにくさりきってしまっても、本屋にいけば最高の友達に出逢えます。
こんにちは。今週も「道下森の本棚」の時間がやってきました(^O^)/
さて、今日紹介する本は、こちら。
スタインベック短編集だ。
ジョン・スタインベックといえば、いわずと知れたアメリカの作家だ。代表作に「怒りの葡萄」「二十日鼠と人間」「エデンの東」などがあり、どれも世界中で読み継がれている名作だ。中でも「怒りの葡萄」は、ピュリッツアー賞、全米図書賞を受賞した「超」名作で、ぼくも10代の終わりに読んだのだが、その圧倒的な筆力に打ちのめされた。読後しばらくは他の本を読むことができなかったのを今でもおぼえている。
ジョン・スタインベックの作品の特徴は、なんといってもその徹底した情景描写のすばらしさだ。
それは今しがた紹介した長編作品だけでなく、短編小説にもいかんなく発揮されている。
……で、この「スタインベック短編集」だ。
その中でも、とくにいいのが「朝めし(Breakfast)」。
わずか4ページ半の、短編というより掌編小説なのだが、これが読んでいてうっとりしてしまうのだ。
それはやはりスタインベックの持つ描写力のせいだろう。
空気の冷たさや匂い、風景の放つ色彩や光のかげんまで、鋭く伝わってくる。タイトルになっている「朝めし」であるベーコンのすばらしい匂いや味や、食後のコーヒーの苦さや、それを口にしながらの男たちの会話の味わいまで、ビンビン伝わってくる。読んでいて本当にあったかくなるのだ。
いいなあ、と活字を追いつつ目を細めてしまう。
ここに男があこがれるすべてがある。
1人旅の途中の朝、同じく綿つみをしながら旅をつづけている衆と出逢い、朝めしをもてなされる。それだけの話。
それだけの話だが、こんな世界に、男はあこがれるのだ。
あこがれて、その思いをしまいこんで現実を生きる者と、あこがれを追い求めて夢に生きる者とがいる。
ぼくは後者だった。
若い頃(今でも…)は、とりつかれたように旅に出た。その行く先々で、10代の終わりに読んだこの「朝めし」のようなシーンを、自然と追い求めたものだった。たぶん、物語の情景が心にしみついていたのだろう。だから、棉摘みではないけど果実や野菜の摘み取りの仕事を旅先でさがしたし、そうした仕事で得た金で、1日でも長く旅をつづけた。
「朝めし」のシーンのような出逢いも、いくつもある。若い男が旅をしていれば、そんな出逢いがくさるほどころがっているものだ。
思い出すと、胸がひりひりとしてくる。
そんなシーンを、ここで書きたいとも思うが、スタインベックの「朝めし」の前では、ぼくの書く物語などかすんでしまうだろう。
だから今日はやめておく。
いずれ書くときがあるかもしれないけど、今日はあくまで「スタインベック短編集」の紹介だからね(-_-)
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。よかったら、今までに紹介した「道下森の本棚」も、ぜひご覧になってください。
刑務所のリタヘイワース スティーブン・キング
オリジナルワンな生き方 ヒュー・マクラウド
スローカーブを、もう一球 山際淳司
リッツカールトンで育まれたホスピタリティノート 高野登
船に乗れ 藤谷治
ルリユールおじさん いせひでこ
超訳ニーチェの言葉
白銀ジャック 東野圭吾
神さまはハーレーに乗って ジョン・ブレイディ
気まぐれロボット 星新一
BRUTUS 2011 2/1号
男の作法
天国はまだ遠く 瀬尾まいこ
最後の授業 アルフォンス・ドーテ
モーラとわたし おーなり由子
老人と海 アーネスト・ヘミングウェイ
傷だらけの店長~それでもやらねばならない~ 伊達雅彦
Sports Graphic Number「スポーツグラフィック ナンバー」 3/24 ルーキー秘話
奇跡は路上に落ちている 軌保博光
小屋番三六五日
O型自分の説明書 Jamais Jamais
一瞬の風になれ 佐藤多佳子
バカでも年収1000万円 伊藤喜之
ユニット 佐々木譲
桐島、部活やめるってよ 朝井リョウ
自分でつくる うまい海軍めし 海軍めし愛好会
ホームへ
今日も最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
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さて、今日紹介する本は、こちら。
スタインベック短編集だ。
ジョン・スタインベックといえば、いわずと知れたアメリカの作家だ。代表作に「怒りの葡萄」「二十日鼠と人間」「エデンの東」などがあり、どれも世界中で読み継がれている名作だ。中でも「怒りの葡萄」は、ピュリッツアー賞、全米図書賞を受賞した「超」名作で、ぼくも10代の終わりに読んだのだが、その圧倒的な筆力に打ちのめされた。読後しばらくは他の本を読むことができなかったのを今でもおぼえている。
ジョン・スタインベックの作品の特徴は、なんといってもその徹底した情景描写のすばらしさだ。
それは今しがた紹介した長編作品だけでなく、短編小説にもいかんなく発揮されている。
……で、この「スタインベック短編集」だ。
その中でも、とくにいいのが「朝めし(Breakfast)」。
わずか4ページ半の、短編というより掌編小説なのだが、これが読んでいてうっとりしてしまうのだ。
それはやはりスタインベックの持つ描写力のせいだろう。
空気の冷たさや匂い、風景の放つ色彩や光のかげんまで、鋭く伝わってくる。タイトルになっている「朝めし」であるベーコンのすばらしい匂いや味や、食後のコーヒーの苦さや、それを口にしながらの男たちの会話の味わいまで、ビンビン伝わってくる。読んでいて本当にあったかくなるのだ。
いいなあ、と活字を追いつつ目を細めてしまう。
ここに男があこがれるすべてがある。
1人旅の途中の朝、同じく綿つみをしながら旅をつづけている衆と出逢い、朝めしをもてなされる。それだけの話。
それだけの話だが、こんな世界に、男はあこがれるのだ。
あこがれて、その思いをしまいこんで現実を生きる者と、あこがれを追い求めて夢に生きる者とがいる。
ぼくは後者だった。
若い頃(今でも…)は、とりつかれたように旅に出た。その行く先々で、10代の終わりに読んだこの「朝めし」のようなシーンを、自然と追い求めたものだった。たぶん、物語の情景が心にしみついていたのだろう。だから、棉摘みではないけど果実や野菜の摘み取りの仕事を旅先でさがしたし、そうした仕事で得た金で、1日でも長く旅をつづけた。
「朝めし」のシーンのような出逢いも、いくつもある。若い男が旅をしていれば、そんな出逢いがくさるほどころがっているものだ。
思い出すと、胸がひりひりとしてくる。
そんなシーンを、ここで書きたいとも思うが、スタインベックの「朝めし」の前では、ぼくの書く物語などかすんでしまうだろう。
だから今日はやめておく。
いずれ書くときがあるかもしれないけど、今日はあくまで「スタインベック短編集」の紹介だからね(-_-)
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。よかったら、今までに紹介した「道下森の本棚」も、ぜひご覧になってください。
刑務所のリタヘイワース スティーブン・キング
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船に乗れ 藤谷治
ルリユールおじさん いせひでこ
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白銀ジャック 東野圭吾
神さまはハーレーに乗って ジョン・ブレイディ
気まぐれロボット 星新一
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男の作法
天国はまだ遠く 瀬尾まいこ
最後の授業 アルフォンス・ドーテ
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