世の中がどんなにくさりきってしまっても、本屋にいけば最高の友達に出逢えます。
こんにちは。「道下森の本棚」の時間がやってきました。
さて、今日紹介する本は、こちら。
葉山アマリ著「29歳の誕生日、あと1年で死のうと決めた。」だ。
この本は、第1回「日本感動大賞」(2010年度)を受賞した『29歳の誕生日』というノンフィクションのエピソードを、著者が受賞後にノベライズしたものだ。
内容は……
友達もいない、恋人もいない、お金もない、おまけに父親が病気で要介護の生活になり、ストレスからの過食で体重が70キロに達してしまい……
そんな派遣社員の主人公が、29歳の誕生日を1人きりで迎え、死ぬことを決意する。だが死に切れず、かわりにそのときテレビに映ったラスベガスの風景に心を奪われる。彼女は決めた。1年後の30歳の誕生日に、ラスベガスで人生最後の大勝負(カジノでブラックジャック)をし、思い残すことなく命を絶つ、と。
自らの余命を1年と決めた彼女は、派遣の仕事をつづけながら、銀座のホステスやヌードモデルなどのアルバイトで資金をため、1年後、ラスベガスでの大勝負に挑むのだった。
……というもの。
ぶっちゃけ、ううっベタだぁ、と思ったし、都合よくことが運ばれすぎじゃねえかぁ、とも思った。それに作者がプロの作家でないから言葉の表現力や描写力がとぼしく、読んでいて物足りなさも感じた。説明不足だったり、逆に説明が過剰であったり、時系列がはっきりしなかったり、人物像が見えにくかったり、ツッコミどころは満載だ。
本を読みなれている人は、きっと同じような感想を抱くと思う。
しかし、それでもこの本はよかった。
読後の爽快さが何ともいえないのだ。こむずかしい理屈を抜きに、単純に感動できるのだ。
1年前に公共料金すら払えなかった女性が、世界中のセレブにまじって、ラスベガスのカジノで優雅にふるまう。そのギャップの痛快さと、そこに至るまでの1年間の努力が、読む者の心を熱くするのだ。
男のぼくでさえそう感じるのだから、女の人が読めば、より共感できるだろう。とくにこの著者のように、自分の人生に絶望した経験がある人ならば。
逆に、順風満帆な人生をすごしてきたシアワセまっしぐらな人には、まったくをもってリアルさを感じない本になるかもしれない。
自分の人生を振り返ってみて、ああ、どうしてこんなふうになっちゃったんだろう、と思う人、思ったことがある人は、ぜひ読んでみてほしい。
可能性の扉は、じつはとても開きやすいものだってわかるから。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。よかったら、今までに紹介した「道下森の本棚」も、ぜひご覧になってください。
刑務所のリタヘイワース スティーブン・キング
オリジナルワンな生き方 ヒュー・マクラウド
スローカーブを、もう一球 山際淳司
リッツカールトンで育まれたホスピタリティノート 高野登
船に乗れ 藤谷治
ルリユールおじさん いせひでこ
超訳ニーチェの言葉
白銀ジャック 東野圭吾
神さまはハーレーに乗って ジョン・ブレイディ
気まぐれロボット 星新一
BRUTUS 2011 2/1号
男の作法
天国はまだ遠く 瀬尾まいこ
最後の授業 アルフォンス・ドーテ
モーラとわたし おーなり由子
老人と海 アーネスト・ヘミングウェイ
傷だらけの店長~それでもやらねばならない~ 伊達雅彦
Sports Graphic Number「スポーツグラフィック ナンバー」 3/24 ルーキー秘話
奇跡は路上に落ちている 軌保博光
小屋番三六五日
O型自分の説明書 Jamais Jamais
一瞬の風になれ 佐藤多佳子
バカでも年収1000万円 伊藤喜之
ユニット 佐々木譲
桐島、部活やめるってよ 朝井リョウ
自分でつくる うまい海軍めし 海軍めし愛好会
スタインベック短編集
金持ち父さん 貧乏父さん ロバート・キヨサキ
ビッグウェンズデイ デニス・アーパーク ジョン・ミリアス
OZmagazin8月号
絵を描きたいあなたへ 永沢まこと
白夜行 東野圭吾
デッドエンドの思い出 よしもとばなな
獨白「北の国から」ノーツ 倉本聰
ボビーに首ったけ 片岡義男
イチロー×矢沢永吉 英雄の哲学
ツナグ 辻村深月
帝国ホテルの不思議 村松友視
休息の山 沢野ひとし
最後の冒険家 石川直樹
アフリカの光 丸山健二
鉄道員(ぽっぽや) 浅田次郎
やがて笛が鳴り、僕らの青春は終わる 三田誠広
やさいのかみさま カノウユミコ
お金の科学 ジェームス・スキナー
探偵はバーにいる 東直己
プロ野球二軍監督 赤坂英一
ホームへ
今日も最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
応援のクリックをしていただけると、励みになります。

こちらの姉妹ブログで、自作の小説を連載中です。第1話から読めますので、ぜひ覗いてみてください。

ここからどうぞ→お父さんとの旅『入り口』
こんにちは。「道下森の本棚」の時間がやってきました。
さて、今日紹介する本は、こちら。
葉山アマリ著「29歳の誕生日、あと1年で死のうと決めた。」だ。
この本は、第1回「日本感動大賞」(2010年度)を受賞した『29歳の誕生日』というノンフィクションのエピソードを、著者が受賞後にノベライズしたものだ。
内容は……
友達もいない、恋人もいない、お金もない、おまけに父親が病気で要介護の生活になり、ストレスからの過食で体重が70キロに達してしまい……
そんな派遣社員の主人公が、29歳の誕生日を1人きりで迎え、死ぬことを決意する。だが死に切れず、かわりにそのときテレビに映ったラスベガスの風景に心を奪われる。彼女は決めた。1年後の30歳の誕生日に、ラスベガスで人生最後の大勝負(カジノでブラックジャック)をし、思い残すことなく命を絶つ、と。
自らの余命を1年と決めた彼女は、派遣の仕事をつづけながら、銀座のホステスやヌードモデルなどのアルバイトで資金をため、1年後、ラスベガスでの大勝負に挑むのだった。
……というもの。
ぶっちゃけ、ううっベタだぁ、と思ったし、都合よくことが運ばれすぎじゃねえかぁ、とも思った。それに作者がプロの作家でないから言葉の表現力や描写力がとぼしく、読んでいて物足りなさも感じた。説明不足だったり、逆に説明が過剰であったり、時系列がはっきりしなかったり、人物像が見えにくかったり、ツッコミどころは満載だ。
本を読みなれている人は、きっと同じような感想を抱くと思う。
しかし、それでもこの本はよかった。
読後の爽快さが何ともいえないのだ。こむずかしい理屈を抜きに、単純に感動できるのだ。
1年前に公共料金すら払えなかった女性が、世界中のセレブにまじって、ラスベガスのカジノで優雅にふるまう。そのギャップの痛快さと、そこに至るまでの1年間の努力が、読む者の心を熱くするのだ。
男のぼくでさえそう感じるのだから、女の人が読めば、より共感できるだろう。とくにこの著者のように、自分の人生に絶望した経験がある人ならば。
逆に、順風満帆な人生をすごしてきたシアワセまっしぐらな人には、まったくをもってリアルさを感じない本になるかもしれない。
自分の人生を振り返ってみて、ああ、どうしてこんなふうになっちゃったんだろう、と思う人、思ったことがある人は、ぜひ読んでみてほしい。
可能性の扉は、じつはとても開きやすいものだってわかるから。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。よかったら、今までに紹介した「道下森の本棚」も、ぜひご覧になってください。
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スローカーブを、もう一球 山際淳司
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船に乗れ 藤谷治
ルリユールおじさん いせひでこ
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神さまはハーレーに乗って ジョン・ブレイディ
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BRUTUS 2011 2/1号
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