白銀ジャック 東野圭吾
今週の「道下森の本棚」は、

東野圭吾著「白銀ジャック」だ。
先日読み終えたので、さっそく書評といきたい。
まずは裏表紙に書いてあった物語の概要から。
「我々は、いつ、どこからでも爆破できる」。
年の瀬のスキー場に脅迫状が届いた。警察に通報できない状況を
嘲笑うかのように繰り返される、山中でのトリッキーな身代金奪取。
雪上を乗っ取った犯人の動機は金目当てか、それとも復讐か。
すべての鍵は、一年前に血に染まった禁断のゲレンデにあり。
今、犯人との命を賭けたレースが始まる。
圧倒的な疾走感で読者を翻弄する、痛快サスペンス!
いってみれば、「脅迫もの」だ。
東野圭吾の得意とするところだ。
……が、
感想は……
ううん……
ううん……
駄目かも……
同じ東野圭吾の脅迫ものなら、「使命と魂のリミット」の方が断然おもしろかった。またかなり前の作品だが「天空の蜂」も読み応えがあった。だがこの「白銀ジャック」は……
定価の680円分は楽しめた。だがそれだけだ。読後の爽快感もなければ衝撃もなかった。何も残らなかった。
ストーリーやトリックも期待を下まわるものだったが、この「白銀ジャック」を読んでぼくが一番に感じたのは、登場人物に命が吹きこまれていない、ということだ。まったく共感をおぼえない。どの人も、どの人も、どの人も、どの人も、薄っぺらなのだ。
で、結論、この「白銀ジャック」のおすすめ度は、★★★★★
ぼくはこのブログで「道下森の本棚」という書評をはじめたとき、ひそかに自分に課していたルールがあった。それは作品をけなさないということだ。逆にけなしたくなるような本は紹介しない。
それは、ぼくが金を稼いではいないとはいえ小説書きで(今も夢を捨てずに書いている)、だからもしも他の人が書いた本をけなしてしまったら、それは同業者をけなすことになるからだ。
それはクソがやることだ。
以前、映画監督の井筒ナンダラが、他の人が撮った映画をめったくそにこきおろしていた。しかも観ていない映画をだ。映画偏差値が低いだの何だのいって。同業者をこきおろすこの井筒ナンダラを、ぼくはクソだと思った。
そのとき思った。男として、人として、同業者をけなすことだけはしてはいけないんだ、って。
※書評家の方々や読書ブログを運営されている方々が、つまらない本をバッサリと斬り捨てるのは、当然のことながらアリだと思ってます。
だが今回、そのルールをあえておかした。
東野圭吾は、こんなもんじゃない、と思っているからだ。
このままつまらなくなっていく人じゃない、と信じているからだ。
そして、その思いに応えてくれると確信している。
なぜなら、これはぼくの予想だけど、東野さん自身、この「白銀ジャック」は失敗だったとわかっているのではないかと思うからだ。それで1000円以上する単行本でなく、いきなり安価な文庫本として世に出したのではないだろうか。この「白銀ジャック」の価値は、せいぜい680円くらいじゃないかな、と。
だって普通小説って、いきなり文庫本にはならないではないか。それをはなから文庫本で出すってことは、何かの意味があるのだと思う。
そう考えると、何だかホッとするし、うれしくなってくる。
東野さんは、まだ終わっちゃいないんだ、って思えるから。
http://shigerumichishita.blog86.fc2.com/
今日も最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
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東野圭吾著「白銀ジャック」だ。
先日読み終えたので、さっそく書評といきたい。
まずは裏表紙に書いてあった物語の概要から。
「我々は、いつ、どこからでも爆破できる」。
年の瀬のスキー場に脅迫状が届いた。警察に通報できない状況を
嘲笑うかのように繰り返される、山中でのトリッキーな身代金奪取。
雪上を乗っ取った犯人の動機は金目当てか、それとも復讐か。
すべての鍵は、一年前に血に染まった禁断のゲレンデにあり。
今、犯人との命を賭けたレースが始まる。
圧倒的な疾走感で読者を翻弄する、痛快サスペンス!
いってみれば、「脅迫もの」だ。
東野圭吾の得意とするところだ。
……が、
感想は……
ううん……
ううん……
駄目かも……
同じ東野圭吾の脅迫ものなら、「使命と魂のリミット」の方が断然おもしろかった。またかなり前の作品だが「天空の蜂」も読み応えがあった。だがこの「白銀ジャック」は……
定価の680円分は楽しめた。だがそれだけだ。読後の爽快感もなければ衝撃もなかった。何も残らなかった。
ストーリーやトリックも期待を下まわるものだったが、この「白銀ジャック」を読んでぼくが一番に感じたのは、登場人物に命が吹きこまれていない、ということだ。まったく共感をおぼえない。どの人も、どの人も、どの人も、どの人も、薄っぺらなのだ。
で、結論、この「白銀ジャック」のおすすめ度は、★★★★★
ぼくはこのブログで「道下森の本棚」という書評をはじめたとき、ひそかに自分に課していたルールがあった。それは作品をけなさないということだ。逆にけなしたくなるような本は紹介しない。
それは、ぼくが金を稼いではいないとはいえ小説書きで(今も夢を捨てずに書いている)、だからもしも他の人が書いた本をけなしてしまったら、それは同業者をけなすことになるからだ。
それはクソがやることだ。
以前、映画監督の井筒ナンダラが、他の人が撮った映画をめったくそにこきおろしていた。しかも観ていない映画をだ。映画偏差値が低いだの何だのいって。同業者をこきおろすこの井筒ナンダラを、ぼくはクソだと思った。
そのとき思った。男として、人として、同業者をけなすことだけはしてはいけないんだ、って。
※書評家の方々や読書ブログを運営されている方々が、つまらない本をバッサリと斬り捨てるのは、当然のことながらアリだと思ってます。
だが今回、そのルールをあえておかした。
東野圭吾は、こんなもんじゃない、と思っているからだ。
このままつまらなくなっていく人じゃない、と信じているからだ。
そして、その思いに応えてくれると確信している。
なぜなら、これはぼくの予想だけど、東野さん自身、この「白銀ジャック」は失敗だったとわかっているのではないかと思うからだ。それで1000円以上する単行本でなく、いきなり安価な文庫本として世に出したのではないだろうか。この「白銀ジャック」の価値は、せいぜい680円くらいじゃないかな、と。
だって普通小説って、いきなり文庫本にはならないではないか。それをはなから文庫本で出すってことは、何かの意味があるのだと思う。
そう考えると、何だかホッとするし、うれしくなってくる。
東野さんは、まだ終わっちゃいないんだ、って思えるから。
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Comments
Wさま
コメントありがとうございます。
物語というのは、人それぞれの感想があっていいのだと思っています。Wさまが、「白銀ジャック」を「おもしろかった」と感じたのも、私が「駄目かも」と感じたのも、それは読者である我々の率直な感想であり、正反対の立場ではあるものの、同じものだと考えます。ですから、何ら互いを否定するべきものではないと思います。
記事をよく読んでいただけたらわかると思いますが、私は東野圭吾の大ファンです。氏の生み出す物語のすごさをじゅうぶん知っているゆえ、「白銀ジャック」に物足りなさを感じたのです。いわば氏へエールのつもりで記事を書いたつもりです。
その辺の本を読んで、それがただ単に「つまらなかった」というだけでは、記事にはいたしません。記事として取り上げる意味があると判断したからこそ、断腸の思いで書きました。
それでもWさまが不愉快に感じるのなら、それはWさまのぼくの記事に対する率直な感想であり、仕方ないと思います。先ほど申したとおり、感想とは、自由なものですから。
ただ素人が運営しているブログといえ、私はこのブログを運営するにあたり、「言葉を発する」という責任をじゅうぶん考慮したうえで、記事を書いております。ですから、Wさまの「白銀ジャック」への、また私の記事への感想を尊重はいたしますが、私の考えをまげるつもりはありません。
コメントいただいたことは、たいへんありがたく思います。
私も人間なので、ついつい言葉が攻撃的になってしまったかもしれませんが、ブログを運営している者の意見として、我々ブロガーは、決していいかげんな気持ちでは記事を書いていないことだけは、理解してほしかったのです。
記事を再読していただければ、ただ単純に、「おもしろかった」「つまらなかった」の記事を書いているわけではないことを、ご理解いただけると思います。
コメントありがとうございました。
物語というのは、人それぞれの感想があっていいのだと思っています。Wさまが、「白銀ジャック」を「おもしろかった」と感じたのも、私が「駄目かも」と感じたのも、それは読者である我々の率直な感想であり、正反対の立場ではあるものの、同じものだと考えます。ですから、何ら互いを否定するべきものではないと思います。
記事をよく読んでいただけたらわかると思いますが、私は東野圭吾の大ファンです。氏の生み出す物語のすごさをじゅうぶん知っているゆえ、「白銀ジャック」に物足りなさを感じたのです。いわば氏へエールのつもりで記事を書いたつもりです。
その辺の本を読んで、それがただ単に「つまらなかった」というだけでは、記事にはいたしません。記事として取り上げる意味があると判断したからこそ、断腸の思いで書きました。
それでもWさまが不愉快に感じるのなら、それはWさまのぼくの記事に対する率直な感想であり、仕方ないと思います。先ほど申したとおり、感想とは、自由なものですから。
ただ素人が運営しているブログといえ、私はこのブログを運営するにあたり、「言葉を発する」という責任をじゅうぶん考慮したうえで、記事を書いております。ですから、Wさまの「白銀ジャック」への、また私の記事への感想を尊重はいたしますが、私の考えをまげるつもりはありません。
コメントいただいたことは、たいへんありがたく思います。
私も人間なので、ついつい言葉が攻撃的になってしまったかもしれませんが、ブログを運営している者の意見として、我々ブロガーは、決していいかげんな気持ちでは記事を書いていないことだけは、理解してほしかったのです。
記事を再読していただければ、ただ単純に、「おもしろかった」「つまらなかった」の記事を書いているわけではないことを、ご理解いただけると思います。
コメントありがとうございました。
白銀ジャック
おもしろかったけどなー......太字の文色:FF0000]色付きの文字[/色]