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魂の落書き 〜おでんまちのひ 店主の日記〜

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デッドエンドの思い出 よしもとばなな

世の中がどんなにくさりきってしまっても、本屋にいけば最高の友達に出逢えます。

こんにちは。今週も「道下森の本棚」の時間がやってきました。

さて今日紹介するのは、この小説。

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よしもとばなな著「デッドエンドの思い出」だ。


この本、ぼくは単行本が出版された2003年に本屋で買って読んだ。

よしもとばななの本なんて、それまで一冊も読んだことがなかったし、興味すらなかった。なのにどういうわけか、この「デッドエンドの思い出」は、読みたいと思った。

本屋に平積みされた新刊の「帯」の文章が、心に引っかかったのだ。

『これまで書いた自分の作品の中で、いちばん好きです。
 これが書けたので、小説家になってよかったと思いました。』
                  ―よしもとばなな

作家がこれほどまでに思いをこめた小説ってどんなだろう……

当時、真剣に小説家になろうと夢見て、1日最低でも5時間は原稿に向かっていたぼくは、「これは読まなくてはならない」と強く思った。

……で、買った。

5編からなる短編集なのだが、他の小説を飛ばして、表題作の「デッドエンドの思い出」だけを読んだ。その日のうちに。

そのとき感じた心のひりひりする感じは、今でもはっきりとおぼえている。

ぼくは打ちのめされた。人を打ちのめすようなパワフルな物語ではないのに、強烈に打ちのめされた。物語が醸し出す、静かな哀しみに。せつない温かさにに。

これこそが本当の小説だと、小説家をめざしていたぼくは強く思った。

必ず小説家になり、ぼくもこの「デッドエンドの思い出」のような小説を絶対に書く! と、心に誓ったものだ。



あれから8年。

結局、小説家になれなかったぼくは、それでも夢の切れ端にしがみつくように物を書きつづけている。

そんな日々の中、ふとこの本を思い出した。

……で、さっき読み返した。

やっぱりいい。あの頃と同じ心のひりひりを感じた。ひりひりというか、何かしめつけられる感じ。

こういう死にたくなるような哀しみって、そのときは本当につらいけど、だけど絶対に人生の中でたいせつな時間なんだなあ、と、「デッドエンドの思い出」を再読してみて、そう思った。

失恋もそうだし、たいせつな人との死別もそうだし、友人の裏切り、それに夢にやぶれることもそうだ。

1カ月、2カ月、1年、あるいはもっと長い時間かもしれない。その哀しみの日々が、人を愛に近づけるのだ。

人って、なぜかみんな、笑顔、笑顔、って、それだけがたいせつなことのように話すけど、哀しいときの泣き顔も、同じくらいにたいせつなものなんだと思う。

ぼくも何度も死にたくなるほどの哀しみを経験した。あのつらい日々は2度と経験したくないけど、それでもそれは、人生の中でたいせつな時間なんだと、ぼくはそう思う。

「デッドエンドの思い出」は、そういうことを深く考えさせられる、すてきな物語だ。ぜひ読んで、哀しみのたいせつさを感じてほしい。



今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。よかったら、今までに紹介した「道下森の本棚」も、ぜひご覧になってください。

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