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魂の落書き 〜おでんまちのひ 店主の日記〜

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ツナグ 辻村深月

世の中がどんなにくさりきってしまっても、本屋にいけば最高の友達に出逢えます。

こんにちは。今週も「道下森の本棚」の時間がやってきました。

さて今日ご紹介するのは、この本。


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辻村深月著「ツナグ」だ。

この本は、多くの書評家が一読を推薦している本で、さまざまなメディアがあらすじを紹介しているので、ぼくもネタバレにならない程度に内容を書く。


突然死したアイドルに。癌で逝った母に。喧嘩したまま亡くなった親友に。失踪した婚約者に。死者との再会を望むなんて、生者の傲慢かもしれない。間違いかもしれない。でも―喪ったものを取り戻し、生きるために会いにいく。―4つの再会が繋いだ、ある真実。新たな一歩を踏み出す連作長編小説。
「BOOK」データベースより


いわゆる「死者よみがえり物」だ。

諸事情があって、この手の本はすべて(知る限りの)読むことにしている。古くはディケンズの「クリスマス・カロル」が有名だ。ほかにも、古今東西、さまざまな作家がこの手の小説を書いている。

いろいろ読んだが、正直どれもいまいちだった。

いまいち、ならまだ許せるが、「これはないな」と嫌悪感を抱くものも多々あった。テーマがテーマだけに、おふざけが入ったりすると、読んでてマジで不愉快になる。

……で、この「ツナグ」も、その類かもなあ、と予想しつつ読みはじめた。

結論からいおう。この本、マジでよかった。今まで読んだ「死者よみがえり物」の中で断トツにいい。(浅田次郎の『鉄道員』が次点だ)

設定はありえない。ありえないが、ものすごくリアリティーがある。それは登場人物の、すなわち死者と生きている側の人間の感情が、しっかりと描かれているからだろう。

すべての人物に共感はできないのだが、すべての人物の感情に入りこんだ。それもどっぷりと。

死者との再会を終えた後の、何ともいえないせつなさは、はじめて本を読んだ少年時代を思い起こすような、そんな特別な感覚だった。



ところで、内容でも書いたように、この小説は、「アイドルの心得」「長男の心得」「親友の心得」「待ち人の心得」「使者の心得」の5編からなる連作小説だ。それぞれ独立した短編小説としても読める。

……で、Amazonなどのレビューでは、「親友の心得」の評価が断トツに高い。

ぼくも「親友の心得」は、ドキドキ感が最も高かった。とまらないというか、先が気になってしょうがなかった。

だけど、個人的には「待ち人の心得」が最高だった。この1篇がなかったら、この小説をここまで評価しなかったと思う。この「道下森の本棚」にも加えなかったかもしれない。

せつないのだ。心がひりひりしてしかたないのだ。

この本を読み終えたのは昨日の夜だが、まるまる1日経った今も、せつなさが胸に残っている。思い出すと、胸がしめつけられる感じだ。

ただ、あえて書評家きどりでいわせてもらうならば、最後の1篇、「使者の心得」はいらなかったと思う。他の4編をすべてつなぐ狙いがあったのだと思うけど、狙いすぎたように思えた。

あくまでも個人的な意見だが。

まあ、それを差っ引いても、すごくいい本だから、みんなも読んでみて。

じゃあね。また来週(^.^)/~~~



今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。よかったら、今までに紹介した「道下森の本棚」も、ぜひご覧になってください。

刑務所のリタヘイワース スティーブン・キング
オリジナルワンな生き方 ヒュー・マクラウド
スローカーブを、もう一球 山際淳司
リッツカールトンで育まれたホスピタリティノート 高野登
船に乗れ 藤谷治
ルリユールおじさん いせひでこ
超訳ニーチェの言葉
白銀ジャック 東野圭吾
神さまはハーレーに乗って ジョン・ブレイディ
気まぐれロボット 星新一
BRUTUS 2011 2/1号
男の作法
天国はまだ遠く 瀬尾まいこ
最後の授業 アルフォンス・ドーテ
モーラとわたし おーなり由子
老人と海 アーネスト・ヘミングウェイ
傷だらけの店長~それでもやらねばならない~ 伊達雅彦
Sports Graphic Number「スポーツグラフィック ナンバー」 3/24 ルーキー秘話
奇跡は路上に落ちている 軌保博光
小屋番三六五日
O型自分の説明書 Jamais Jamais
一瞬の風になれ 佐藤多佳子
バカでも年収1000万円 伊藤喜之
ユニット 佐々木譲
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自分でつくる うまい海軍めし 海軍めし愛好会
スタインベック短編集
金持ち父さん 貧乏父さん ロバート・キヨサキ
ビッグウェンズデイ デニス・アーパーク ジョン・ミリアス
OZmagazin8月号
絵を描きたいあなたへ 永沢まこと
白夜行 東野圭吾
デッドエンドの思い出 よしもとばなな
獨白「北の国から」ノーツ 倉本聰
ボビーに首ったけ 片岡義男
イチロー×矢沢永吉 英雄の哲学



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