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魂の落書き 〜おでんまちのひ 店主の日記〜

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やさいのかみさま カノウユミコ

世の中がどんなにくさりきってしまっても、本屋にいけば最高の友達に出逢えます。

こんにちは。「道下森の本棚」の時間がやってきました。

さて、今日ご紹介する本は、これ。



カノウユミコ著「やさいのかみさま」だ。

この本は、単なる料理本とは一線を画している。「幸せになるための40のレシピ」の副題どおり40のレシピを紹介しているのだが、それぞれにエッセイ風の話が語られていて、そのどれもが目からうろこの話ばかりで、料理に興味がない人でもじゅうぶんに楽しめるのだ。

ぼくはといえば、じつは料理は嫌いではない。自炊もするし、友人を呼んで料理をふるまうことも何度もある。見てくれはともかく味には自信があって、みんなも「うまい」といって、おかわりしてくれる。仲間におかわりを差し出しながら、「おれはうまいもんしかつくらねえからよ」とグッチ裕三みたいな口をきいたものだった。

けれども父が亡くなって千葉の実家に帰ってからは、すっかり料理とはご無沙汰になった。腕前も落ちだろうし、料理に対する興味も失いつつある。たまにキッチンに立って何かつくろうかと思っても、使いたい道具や食材がどこにあるのかわからず、「ああ、もうやめた!」ってなってしまうのだ。最近じゃカップラーメンに湯を注ぐことすら、おっくうになった。

だからぼくはこの本をレシピとしてでなく、料理のプロが書いたエッセイとして読んだ。



40の話の中に「一万時間の悟り」という話があった。ちなみにここで紹介されているレシピは「椎茸と三つ葉の和えもの」だが、そちらはこの際おいておこう。

「一万時間の悟り」は、著者の料理歴の話だ。

田舎で育った著者は、小学校低学年のとき、農家向けの雑誌に載っていたレシピをたよりに料理をはじめた。以来、東京の大学に進学し、結婚し、その間ずっと、さまざまな料理本のレシピを見ながら料理をつづけた。

そして40歳になった頃、突然、自分の料理を自立させたというのだ。自分自身の料理の世界が確立し、つくりたいものを自在につくりだせるようになったという。

料理をはじめてから30年が経っていた。1日に1時間料理したとして、1万時間以上を料理に費やした計算になる。

著者はいう。


何かを大成すると、決まって生まれつき才能があるからとしいう話になる。
実際は、誰でも、どんなことでも、やり続けた時間が一万時間を越えた時、悟りのような瞬間が訪れるのではないだろうか。学びの領域を越えて、まだ誰も歩んだことのない道を、創造の領域に踏み出すことができる。



はっとした。

そして、それは真理だと思った。

1万時間。言葉にすると簡単だが、はたして自分は1万時間ものときを費やした「何か」があるだろうか。毎日のルーティンである仕事以外に。

ない……。

子どものときから、野球、サッカー、波乗り、川下り、山登り、とあらゆる趣味に没頭してきたが、そのどれも1万時間には到底およばない。全部足しても、半分にも満たないのではないだろうか。

しいていえば、小説書きには膨大な時間を費やしたが、それでも1万時間にはおよんでいないと思う。せいぜい5千~6千時間がいいところだろう。

ううん、と考えさせられた。そして、何でもいいから、好きなこと、得意なことに時間を費やし、それを継続させようと思った。とりあえず1万時間を越えてみよう、と。

そのとき、自分はどのような境地に立っているのか。それを考えるとわくわくする。



また「ネパールで暮らした日々」という話もおもしろかった。ぼく自身もネパールを1カ月旅した経験があるから、情景も手に取るように伝わってきた。とくに著者が暮らしていたというポカラは首都のカトマンドゥと比べて格段に土地の人が温かいから、読んでいても心が温まった。

ちなみにそこで「ネパール風レンズ豆のスープ」をレシピとして紹介していた。これはネパール人が毎日食べるメニューで、日本でいえばみそ汁にあたるものだ。

ぼくも毎日のように口にしていた。もちろん、現地の人と同じく、箸など使わず、左手で。

ちなみにレシピはこうだ。

材料  レンズ豆、マスタードオイル、クミンシード、ターメリックパウダー、天日塩

① レンズ豆と水を鍋に入れ、やわらかくなるまで煮る。

② 小鍋にマスタードオイルとクミンシードを熱し、香りが出たらターメリックパウダーを入れ、①のスープに加え混ぜる。塩で味を調える。


今度、つくってみようと思う。


追記。

この本は、ブログ仲間の彩月氷香さんに紹介してもらいました。彩月氷香さんの、ほんわかと明るく、かわいらしいブログを読み、おもしろそうだと思い、図書館で借りてきたのです(予約して1カ月待ちだった)。

ちなみに下のリンクがそのときの記事。
持ち歩ける庭のように「やさいのかみさま カノウユミコ」

この記事以外にも、すてきな読書感想や日記などが満載です。ぜひ、読んでみてください。心がほんわかとしますから。



今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。よかったら、今までに紹介した「道下森の本棚」も、ぜひご覧になってください。

刑務所のリタヘイワース スティーブン・キング
オリジナルワンな生き方 ヒュー・マクラウド
スローカーブを、もう一球 山際淳司
リッツカールトンで育まれたホスピタリティノート 高野登
船に乗れ 藤谷治
ルリユールおじさん いせひでこ
超訳ニーチェの言葉
白銀ジャック 東野圭吾
神さまはハーレーに乗って ジョン・ブレイディ
気まぐれロボット 星新一
BRUTUS 2011 2/1号
男の作法
天国はまだ遠く 瀬尾まいこ
最後の授業 アルフォンス・ドーテ
モーラとわたし おーなり由子
老人と海 アーネスト・ヘミングウェイ
傷だらけの店長~それでもやらねばならない~ 伊達雅彦
Sports Graphic Number「スポーツグラフィック ナンバー」 3/24 ルーキー秘話
奇跡は路上に落ちている 軌保博光
小屋番三六五日
O型自分の説明書 Jamais Jamais
一瞬の風になれ 佐藤多佳子
バカでも年収1000万円 伊藤喜之
ユニット 佐々木譲
桐島、部活やめるってよ 朝井リョウ
自分でつくる うまい海軍めし 海軍めし愛好会
スタインベック短編集
金持ち父さん 貧乏父さん ロバート・キヨサキ
ビッグウェンズデイ デニス・アーパーク ジョン・ミリアス
OZmagazin8月号
絵を描きたいあなたへ 永沢まこと
白夜行 東野圭吾
デッドエンドの思い出 よしもとばなな
獨白「北の国から」ノーツ 倉本聰
ボビーに首ったけ 片岡義男
イチロー×矢沢永吉 英雄の哲学
ツナグ 辻村深月
帝国ホテルの不思議 村松友視
休息の山 沢野ひとし
最後の冒険家 石川直樹
アフリカの光 丸山健二
鉄道員(ぽっぽや) 浅田次郎
やがて笛が鳴り、僕らの青春は終わる 三田誠広


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Comments

レンズ豆 
トルコにもあります!
ほんとに味噌汁と同じで毎日でも飽きないし、材料や香料で違う味もだせますね。こちらではジャガイモ、ニンジン、玉ねぎ、トマトと一緒に煮込んでスープにします。

それまでに見たり興味を抱いたものが急に形になる、それが齢四十なんでしょうかねえ。
あやみさんへ 
コメントありがとうございます。

あやみさんはトルコに在住されてるんでしたね。そうですか。トルコにもそういうスープがありますか! 

ぼくは世界を旅するのが好きで、各国の料理はすごく興味があるんです。トルコの料理も興味あります。いや、トルコは料理だけでなく国そのものに興味があって、いつか旅してみたいと思ってます。アジアとヨーロッパとの境である国。

しかし、ジャガイモ、ニンジン、タマネギ、トマト、って、それだけでじゅうぶんおかずになりそう。ものすごく身体にもよさそうなスープですね。今度レシピを教えてください。
No title 
こんばんは。

1万時間。私もはっとしました。と同時ぐらいに
「でももう遅いよねえ」という内なるナマケモノの声も。
そうやって今までもきたのでした。
好きなことが多すぎて、というのは自分への言い訳で
そのどれにも、たいして情熱がなかったのかもしれない、と今は思います。

でもでも、いつからだって、始めるのに遅すぎることなんてない。
50を過ぎてある目標を掲げたのですが、
よっしゃがんばろう、とあらためて思いました^^
ハルさんへ 
コメントありがとうございます。

ぼくも「今さらおせえよな」って気持ちもあるんです。ハルさんと同じく好きなことが多いので。今やってること以外にも、興味があることが順番待ちしている始末で……

だけど一万時間の先にある「何か」を見てみたい気持ちも強くて。

だから、やってみよう、って気持ちになりました。一万時間という壮大なゴールを見ず、まずは一歩一歩、はじめること、つづけていくことが大事なんだ、って、そう思います。

ハルさんの掲げた目標、応援します。一緒に、一万時間の先にある「何か」、目指しましょう!



1日1時間30年 
道下 森さん、こんばんは^^

カヌーの旅も楽しく読みました。Iさんに会えてよかったですね。
サーファーは、自然を愛する人が多いから好きです。

面白そうな料理本。道下さんの語りに引き込まれていきます。
確かに1万時間という目安があるのかも知れませんね。作家
の宇野千代さんが、50年同じ場所、同じ座布団に座って人形を
作り続けた職人の話を思い起こしました。そこに座り続けること
が大事だと。

1日1時間30年、人生半ばでも出来そうですね^^
はなさかすーさんへ 
コメントありがとうございます。

Iさんとも逢え、来週(物語の上では翌日)はいよいよ札幌をあとにし、次なる川に向けて出発します。乞うご期待(^_-)

一万時間の話は目からうろこでした。簡単に到達しそうで、しかし計算してみると途方もないその年月は、たしかに人間を新しい境地に導く感じがします。

宇野千代のお話も興味深いですね。おそらく同じことをおっしゃってるんでしょう。50年間、同じ場所に座りつづける…… 簡単そうに思えて、とてもたいへんなことです。

好きなことをつづける。たいへんだけど、誰にでもできることなんですよね。自分も見習いたいと思います。

 
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