プロ野球 二軍監督~男たちの誇り 赤坂英一
世の中がどんなにくさりきってしまっても、本屋にいけば最高の友達に出逢えます。
こんにちは。「道下森の本棚」の時間がやってきました。
さて、今日 紹介するのはこの本。
赤坂英一著「プロ野球二軍監督~男たちの誇り」だ。
まずは本の内容。
芽の出ないドラフト1位もいれば、復活にかける元レギュラーもいる。毎年、誰かが去り、新しく入ってくる残酷な世界だ。そんなファームを舞台にした監督・選手たちを初めて描くノンフィクション群像劇。
(「BOOK」データベースより)
ようは、プロ野球の二軍にスポットをあてたスポーツノンフィクションだ。
プロ野球が好きな人なら楽しめるだろう。いや、この本を読んで何かを感じる人こそが、真のプロ野球ファンなのだと、ぼくは思う。
ええっ? 二軍、興味ねえよ……
……と考える人は、真のプロ野球ファンではない。ぼくはそう断言する。
何億も稼ぐプロの選手も、はじめからカクテル光線に照らされた一軍のグラウンドで野球をやれたわけではないのだ。誰もが、カンカン照りの太陽の下で、冷たい風が吹きすさぶ質素なグラウンドで、泥だらけになって、汗だくになって、必死に野球をした。どんなスター選手も、最初は二軍からスタートしたのだ。
先日、総額46億円(6年契約)でテキサス・レンジャーズ入りしたダルビッシュだって、はじめは千葉県の鎌ヶ谷にある二軍の寮でプロ野球生活をスタートしているのだ。
それをふまえて野球を見れば、よりいっそう楽しめると思う。
さて、この本には何人もの二軍監督が登場する。
水上善雄(ファイターズ)、渡辺久信(ライオンズ)、片平晋作(ライオンズ)、大久保博元(ライオンズ)、山崎立翔(カープ)、高橋慶彦(マリーンズ)、鳥越裕介(ホークス)、猿渡寛茂(スワローズ)、川相昌弘(ドラゴンズ)
かつては一軍で活躍したかれらが、「今どき」の若い世代の選手たちを育てていく。野球を教えるのはもちろん、高校や大学を出たばかりの若者に、人間性をもたたきこむ。
どの監督のエピソードもよかった。全部紹介したいくらいだ。だがそれは無理なので、この中でぼくが一番好きな高橋慶彦監督の話を書く。
高橋が千葉ロッテマリーンズの二軍監督に就任したとき、最初のあいさつで選手たちに話した言葉だ。
「人生は一度きりしかない。その一度きりの人生で、きみたちはこうしてプロ野球のユニフォームを着ることができた。このチャンスを生かしてほしい」
チャンスを生かす。それはすなわち、死にもの狂いでやれ、ということだ。これは言葉こそちがうがすべての監督が選手に願っていることだ。必死にやれ、と。
高橋はこうつづける。
本当に人生が一度しかないとわかっていれば、誰でも死にもの狂いでやるはずだ。練習で手を抜くことなどできないはずだ。だが、実際には、おれはやっている、こんな必死なんだと言いながら、結局は中途半端な練習しかせずやめていった選手が多い。
「あくまで、ぼくの目から見たら、ですけどね。本当に悔いのない野球人生だったのか、これ以上できないところまでやって、もうできないからやめたのか。そう聞かれたら、自分でもクエスチョンがつく人の方が多いんじゃないんですか」
そうだよなあ、と、自分の人生を振り返って考えた。何も野球の世界だけの話ではない。どんな人生においても、この高橋慶彦の言葉は真理だ。死にもの狂いでやる。結局はこれに尽きるのだ。
ところで、ぼくは二軍の試合が好きで、よく鎌ヶ谷球場に試合を観にいく。だいたい年間で7~8試合は観るだろうか。
大歓声に包まれた一軍の試合とちがって、二軍の試合は選手たちの息遣いまで感じることができる。ベンチからの監督やコーチの選手への指示も聞こえるし、さらに耳をダンボにすれば会話だって聞こえる。ピッチャーが投球する際、ハァッ、という声(テニス選手のサーブのときみたいな声)も聞こえる。オリャ、といって投げる人もいる。
それがいいのだ。リアルな感じが、心にぐっとくるのだ。
試合後は、球場の隣にある室内練習場での特打ちを見学できる。見学といっても覗き見程度だが、下手な試合を見るよりよっぽどためになる。
時間が許すかぎり、ぼくは見学(覗き見)していく。
やる気のある選手は本当に遅くまで練習する。2時間、3時間はあたりまえだ。突っ立ってるだけのこっちが、先にギブアップしてしまう。
すげえなあ、と、いつも感心する。
それでも、先ほどの高橋慶彦の言葉じゃないけど、死にもの狂いのレベルまでやっている選手は、ほんの一握りなのだろう。一見すれば必死にやっているようでも、実際はそうでないことの方が多いのだろう。
だけど中には本気で死にもの狂いでやっている選手もいる。
そんな若者たちの姿を見に、今年もまた鎌ヶ谷球場に足を運ぶつもりだ。
みんなもぜひ、二軍の試合を観てほしい。ある意味、一軍の試合を観るより価値があると思う。
2012年度プロ野球ファーム日程→http://www.npb.or.jp/schedule/index_farm.html
そうそう、もちろん観戦の前に、この本を読んでみてね。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。よかったら、今までに紹介した「道下森の本棚」も、ぜひご覧になってください。
刑務所のリタヘイワース スティーブン・キング
オリジナルワンな生き方 ヒュー・マクラウド
スローカーブを、もう一球 山際淳司
リッツカールトンで育まれたホスピタリティノート 高野登
船に乗れ 藤谷治
ルリユールおじさん いせひでこ
超訳ニーチェの言葉
白銀ジャック 東野圭吾
神さまはハーレーに乗って ジョン・ブレイディ
気まぐれロボット 星新一
BRUTUS 2011 2/1号
男の作法
天国はまだ遠く 瀬尾まいこ
最後の授業 アルフォンス・ドーテ
モーラとわたし おーなり由子
老人と海 アーネスト・ヘミングウェイ
傷だらけの店長~それでもやらねばならない~ 伊達雅彦
Sports Graphic Number「スポーツグラフィック ナンバー」 3/24 ルーキー秘話
奇跡は路上に落ちている 軌保博光
小屋番三六五日
O型自分の説明書 Jamais Jamais
一瞬の風になれ 佐藤多佳子
バカでも年収1000万円 伊藤喜之
ユニット 佐々木譲
桐島、部活やめるってよ 朝井リョウ
自分でつくる うまい海軍めし 海軍めし愛好会
スタインベック短編集
金持ち父さん 貧乏父さん ロバート・キヨサキ
ビッグウェンズデイ デニス・アーパーク ジョン・ミリアス
OZmagazin8月号
絵を描きたいあなたへ 永沢まこと
白夜行 東野圭吾
デッドエンドの思い出 よしもとばなな
獨白「北の国から」ノーツ 倉本聰
ボビーに首ったけ 片岡義男
イチロー×矢沢永吉 英雄の哲学
ツナグ 辻村深月
帝国ホテルの不思議 村松友視
休息の山 沢野ひとし
最後の冒険家 石川直樹
アフリカの光 丸山健二
鉄道員(ぽっぽや) 浅田次郎
やがて笛が鳴り、僕らの青春は終わる 三田誠広
やさいのかみさま カノウユミコ
お金の科学 ジェームス・スキナー
探偵はバーにいる 東直己
ホームへ
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ここからどうぞ→お父さんとの旅『入り口』
こんにちは。「道下森の本棚」の時間がやってきました。
さて、今日 紹介するのはこの本。
赤坂英一著「プロ野球二軍監督~男たちの誇り」だ。
まずは本の内容。
芽の出ないドラフト1位もいれば、復活にかける元レギュラーもいる。毎年、誰かが去り、新しく入ってくる残酷な世界だ。そんなファームを舞台にした監督・選手たちを初めて描くノンフィクション群像劇。
(「BOOK」データベースより)
ようは、プロ野球の二軍にスポットをあてたスポーツノンフィクションだ。
プロ野球が好きな人なら楽しめるだろう。いや、この本を読んで何かを感じる人こそが、真のプロ野球ファンなのだと、ぼくは思う。
ええっ? 二軍、興味ねえよ……
……と考える人は、真のプロ野球ファンではない。ぼくはそう断言する。
何億も稼ぐプロの選手も、はじめからカクテル光線に照らされた一軍のグラウンドで野球をやれたわけではないのだ。誰もが、カンカン照りの太陽の下で、冷たい風が吹きすさぶ質素なグラウンドで、泥だらけになって、汗だくになって、必死に野球をした。どんなスター選手も、最初は二軍からスタートしたのだ。
先日、総額46億円(6年契約)でテキサス・レンジャーズ入りしたダルビッシュだって、はじめは千葉県の鎌ヶ谷にある二軍の寮でプロ野球生活をスタートしているのだ。
それをふまえて野球を見れば、よりいっそう楽しめると思う。
さて、この本には何人もの二軍監督が登場する。
水上善雄(ファイターズ)、渡辺久信(ライオンズ)、片平晋作(ライオンズ)、大久保博元(ライオンズ)、山崎立翔(カープ)、高橋慶彦(マリーンズ)、鳥越裕介(ホークス)、猿渡寛茂(スワローズ)、川相昌弘(ドラゴンズ)
かつては一軍で活躍したかれらが、「今どき」の若い世代の選手たちを育てていく。野球を教えるのはもちろん、高校や大学を出たばかりの若者に、人間性をもたたきこむ。
どの監督のエピソードもよかった。全部紹介したいくらいだ。だがそれは無理なので、この中でぼくが一番好きな高橋慶彦監督の話を書く。
高橋が千葉ロッテマリーンズの二軍監督に就任したとき、最初のあいさつで選手たちに話した言葉だ。
「人生は一度きりしかない。その一度きりの人生で、きみたちはこうしてプロ野球のユニフォームを着ることができた。このチャンスを生かしてほしい」
チャンスを生かす。それはすなわち、死にもの狂いでやれ、ということだ。これは言葉こそちがうがすべての監督が選手に願っていることだ。必死にやれ、と。
高橋はこうつづける。
本当に人生が一度しかないとわかっていれば、誰でも死にもの狂いでやるはずだ。練習で手を抜くことなどできないはずだ。だが、実際には、おれはやっている、こんな必死なんだと言いながら、結局は中途半端な練習しかせずやめていった選手が多い。
「あくまで、ぼくの目から見たら、ですけどね。本当に悔いのない野球人生だったのか、これ以上できないところまでやって、もうできないからやめたのか。そう聞かれたら、自分でもクエスチョンがつく人の方が多いんじゃないんですか」
そうだよなあ、と、自分の人生を振り返って考えた。何も野球の世界だけの話ではない。どんな人生においても、この高橋慶彦の言葉は真理だ。死にもの狂いでやる。結局はこれに尽きるのだ。
ところで、ぼくは二軍の試合が好きで、よく鎌ヶ谷球場に試合を観にいく。だいたい年間で7~8試合は観るだろうか。
大歓声に包まれた一軍の試合とちがって、二軍の試合は選手たちの息遣いまで感じることができる。ベンチからの監督やコーチの選手への指示も聞こえるし、さらに耳をダンボにすれば会話だって聞こえる。ピッチャーが投球する際、ハァッ、という声(テニス選手のサーブのときみたいな声)も聞こえる。オリャ、といって投げる人もいる。
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だけど中には本気で死にもの狂いでやっている選手もいる。
そんな若者たちの姿を見に、今年もまた鎌ヶ谷球場に足を運ぶつもりだ。
みんなもぜひ、二軍の試合を観てほしい。ある意味、一軍の試合を観るより価値があると思う。
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そうそう、もちろん観戦の前に、この本を読んでみてね。
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