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魂の落書き 〜おでんまちのひ 店主の日記〜

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陽だまりの彼女 越谷オサム

世の中がどんなにくさりきってしまっても、本屋にいけば最高の友達に出逢えます。

こんにちは。超ひさしぶりに「道下森の本棚」の時間がやってきました(^o^)丿

さてさて、超ひさしぶりではあるけど、それについての言い訳やら何やらはせず、とっとと本の紹介にいきましょう。今日紹介する本はこちら。



越谷オサム著「陽だまりの彼女」だ。

まずは裏表紙の内容。

幼馴染みと十年ぶりに再会した僕。かつて「学年有数のバカ」と呼ばれ冴えないイジメられっ子だった彼女は、モテ系の出来る女へと驚異の大変身を遂げていた。でも彼女、俺には計り知れない過去を抱えているようで―その秘密を知ったとき、恋は前代未聞のハッピーエンドへと走りはじめる!誰かを好きになる素敵な瞬間と、同じくらいの切なさもすべてつまった完全無欠の恋愛小説。


この本は、本屋の平積みの棚に「女の子が男の子に読んでほしいNo.1小説」のコピーで売られていた。

そのコピーを目にしたぼくは、「ふうん……、べつにどうだっていいけど……」とスルーしつつ、内心ではかなり気になり、他の本を物色しながらも「女の子が男の子に読んでほしい、って、どんな本だ……?」と頭の中がそればっかりになった。

そして、

そして、

意を決して購入した……

……わけではなく、図書館で借りた^_^; (本屋さん、毎度毎度ごめんなさい)

予約して、かなりの期間待って、先日ようやく手にできた。

で、読んだ。

こ、これは……

表紙のほのぼのとした感じや、裏表紙の内容から、何となくライトノベルっぽい物語だろうと予想していた。

ところが読んでると、かなりちゃんとした小説であることがわかった。
文体もリズム感があって読みやすいし、情景描写もしっかりと表現されているし、会話にも実体がある。(上から目線の評価ですみません)

そして何より、主人公の浩介にも、彼女(後に奥さん)の真緒にも、100%感情移入できる。じつはぼくにとってはこれが一番重要で、その本がいいかわるいかは、ほとんどこのポイントで決まるといっていい。

こんなやついねえよ、とか、こいつ何かいやなやつじゃねえ? とか、ちらっとでも思ってしまったら、その本はもうぼくの心の中のゴミ箱に捨てられるのだ。※作者が意図的にいやなやつを描いた本はこのかぎりではない。

この本の主人公たちはいやなやつではなかった。むしろ愛すべき人物だった。
だから、2人に幸せになってもらいたいと強く願いながら、本を読みつづけた。

それが物語の後半になると、不吉な場面がちらほらと出はじめた。何となく、哀しい展開へと流れがかわりはじめたのだ。

おいおい、ふざけんなよ……

ぼくは不安を抱えつつ、その不安を解消したくて睡眠時間を削って読みつづけた。だが読めば読むほど、不安は増大していく。

これってもしかして、いわゆる彼女が病気だったっていうあのパターンか……?

いやいや、それだけは勘弁してほしい。だけどこれはもうまちがいない……

そう確信し、さらに読んでいく。そしてついにすべての謎がとけ、物語は完結する。

これ以上はネタバレになるので、以下、読書中ぼくの心の声を聴きつつ、どんなものかを想像してほしい。



えええっ?

何? うそおっ?

えええっ?

マジかあっ?

そうだったんかあっ?

えっ、でも、だって……

あっ、ホントだ……

だけど、じゃあ、あれは?

あっ、そうか……

じゃあ何?

えええっ?

マジで?

えええっ?

せつなすぎだろ!

うわっ、マジ、これ、くるよお……

きたわ……

……

……

涙……

……



……ってな感じだ。

読む人によって、ハッピーエンドとも取れるし、そうではないとも取れる。

ぼくは、ただただせつなくなった。読み終わってしばらくしても、そのせつなさは消えずに残った。

だけどまあ、ものすごくいい本だったのはまちがいなくいえる。

ぜひ、読んでほしい。

読めば必ずせつなくなる。そして、必ず再読したくなる。これこそが、この本の特徴だ。
ぼくも今、ふたたび読み返している最中だ。2度目は、せつなさが倍以上になって胸に迫る。マジでせつなくなる。

ちなみにこの本、今年の新潮文庫の100冊に選ばれた。

新潮文庫、やるじゃん(^_-)



今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。よかったら、今までに紹介した「道下森の本棚」も、ぜひご覧になってください。

刑務所のリタヘイワース スティーブン・キング
オリジナルワンな生き方 ヒュー・マクラウド
スローカーブを、もう一球 山際淳司
リッツカールトンで育まれたホスピタリティノート 高野登
船に乗れ 藤谷治
ルリユールおじさん いせひでこ
超訳ニーチェの言葉
白銀ジャック 東野圭吾
神さまはハーレーに乗って ジョン・ブレイディ
気まぐれロボット 星新一
BRUTUS 2011 2/1号
男の作法
天国はまだ遠く 瀬尾まいこ
最後の授業 アルフォンス・ドーテ
モーラとわたし おーなり由子
老人と海 アーネスト・ヘミングウェイ
傷だらけの店長~それでもやらねばならない~ 伊達雅彦
Sports Graphic Number「スポーツグラフィック ナンバー」 3/24 ルーキー秘話
奇跡は路上に落ちている 軌保博光
小屋番三六五日
O型自分の説明書 Jamais Jamais
一瞬の風になれ 佐藤多佳子
バカでも年収1000万円 伊藤喜之
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桐島、部活やめるってよ 朝井リョウ
自分でつくる うまい海軍めし 海軍めし愛好会
スタインベック短編集
金持ち父さん 貧乏父さん ロバート・キヨサキ
ビッグウェンズデイ デニス・アーパーク ジョン・ミリアス
OZmagazin8月号
絵を描きたいあなたへ 永沢まこと
白夜行 東野圭吾
デッドエンドの思い出 よしもとばなな
獨白「北の国から」ノーツ 倉本聰
ボビーに首ったけ 片岡義男
イチロー×矢沢永吉 英雄の哲学
ツナグ 辻村深月
帝国ホテルの不思議 村松友視
休息の山 沢野ひとし
最後の冒険家 石川直樹
アフリカの光 丸山健二
鉄道員(ぽっぽや) 浅田次郎
やがて笛が鳴り、僕らの青春は終わる 三田誠広
やさいのかみさま カノウユミコ
お金の科学 ジェームス・スキナー
探偵はバーにいる 東直己
プロ野球二軍監督 赤坂英一
29歳の誕生日、あと1年で死のうと決めた。葉山アマリ
吉田類の酒場放浪記
ゴールデンラッキービートルの伝説 水沢秋生
超訳ニーチェの言葉②


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