合羽橋道具街を歩く
休日に東京まで出向き、合羽橋道具街を歩いた。

合羽橋道具街とは、台東区西浅草にある、食器具・包材・調理器具・食品サンプル・食材・調理衣装などを一括に扱う道具専門の問屋街だ。菊屋橋交差点から言問通りまで南北にわたって170店以上の専門店が並んでいる。飲食関係の道具はすべてそろうといわれ、おとずれる客のほとんどが飲食店関係の人たちだ。
昨年末、自分の包丁を買いに、この道具街をおとずれた。結局ここで買わずに、自宅近くの刃物専門店で買ったのだが(参照→2012.12.2「料理人の魂、包丁を買った」)、問屋街ならではの豊富な品ぞろえに感動したのをおぼえている。
で、またきてしまったのだが、あいかわらずの雰囲気にぼくの心は満たされた。料理道具や和洋食器を手にとっては自分が料理するときのことを想像しながら歩くのは、とても楽しい時間だった。
最近は店でも厨房に入るようになった。今まではカウンターに立って接客をしていたのだが、そのポジションには店長が入り、ぼくは店長の息子のNさんとともに一品料理をつくっている。
つくっている、といっても、一品料理のメインはあくまで跡取りのNさんで、ぼくがやるのはサラダや珍味、刺身など、すぐに出せるものだけだ。それをしながら洗い物もやり、場合によってはドリンクをつくったりおでん前に立ったりフロアに出たりもする。ようは便利屋だ。
それでも、料理をやらせてもらえるようになったのは、ぼくにとっては大きな前進だった。英才教育されているNさんの傍らでこそこそとメモを取り、自宅で練習した成果が出たのだと思う。見よう見まねの料理だから、こんなんじゃ駄目だ、とつくり直しを命じられることも多いけど、出せる料理が日に日に増えているのが実感できている。はじめはおしんこと塩辛くらいしかできなかったのが、今では刺身を引いて盛りつけまでしているのだから、自分の中では格段の進歩だ。
先日も、めったにぼくをほめない店長が、小肌のすじめの盛りつけを、きれいだといってくれた。自分でも、包丁の全体を使って丁寧に切ろうと意識し、また、つまの大根の盛り方や大葉ののせ方にも気を使った一皿だったので、その料理をほめてもらえたのはすごくうれしかった。
店長にほめられるだけでなく、自分がつくった料理をお客さんがぺろりとたいらげるのを見届けると、これが料理人の喜びかと心がわきたった。そうだ、自分はプロの料理人の第一歩を踏み出したのだと、身がひきしまる思いだ。
この日、ぼくが合羽橋をおとずれたのは、包丁ケースを買うためだった。先日、店長から包丁セットをいだたき、自分のものと合わせて包丁の数が5本になったので、整理するために、また持ち運びするときのために、包丁専用のアタッシュケースが必要になったのだ。
ちなみにいただいた包丁はこんな感じ。

Nさんにも同じものをあげたそうで、だとすれば店長の期待に応えるためよりいっそう努力しなければ……
しかし、結局この日は、気にいった包丁ケースがなかった。わるくないかなと思うものは2、3あったが、これだ、というものには出逢わなかった。
道具街をあとにし、上野まで歩く。アメ横のカードしたの大衆酒場で一杯やる。

生ビール(ホントは断然瓶ビール派なのだが、置いてないといわれた)を2杯と、マグロの刺身ともつ煮こみ、焼き物はかしらを塩で。
もつ煮こみはいまいちだったが、焼き物は弾力があってうまかった。塩のかげんもすばらしい。マグロの刺身の盛り方がきれいで、これはぜひ自分がやるときも取り入れようと思った。
30分ほどで店をあとにした。空が明るいうちに入ったのだが、店を出ると街は夜の入り口をすぎていた。
明日からまた仕事だ。やるぞ、と気合いを入れつつ家路につく。
いい休日になった。

合羽橋道具街とは、台東区西浅草にある、食器具・包材・調理器具・食品サンプル・食材・調理衣装などを一括に扱う道具専門の問屋街だ。菊屋橋交差点から言問通りまで南北にわたって170店以上の専門店が並んでいる。飲食関係の道具はすべてそろうといわれ、おとずれる客のほとんどが飲食店関係の人たちだ。
昨年末、自分の包丁を買いに、この道具街をおとずれた。結局ここで買わずに、自宅近くの刃物専門店で買ったのだが(参照→2012.12.2「料理人の魂、包丁を買った」)、問屋街ならではの豊富な品ぞろえに感動したのをおぼえている。
で、またきてしまったのだが、あいかわらずの雰囲気にぼくの心は満たされた。料理道具や和洋食器を手にとっては自分が料理するときのことを想像しながら歩くのは、とても楽しい時間だった。
最近は店でも厨房に入るようになった。今まではカウンターに立って接客をしていたのだが、そのポジションには店長が入り、ぼくは店長の息子のNさんとともに一品料理をつくっている。
つくっている、といっても、一品料理のメインはあくまで跡取りのNさんで、ぼくがやるのはサラダや珍味、刺身など、すぐに出せるものだけだ。それをしながら洗い物もやり、場合によってはドリンクをつくったりおでん前に立ったりフロアに出たりもする。ようは便利屋だ。
それでも、料理をやらせてもらえるようになったのは、ぼくにとっては大きな前進だった。英才教育されているNさんの傍らでこそこそとメモを取り、自宅で練習した成果が出たのだと思う。見よう見まねの料理だから、こんなんじゃ駄目だ、とつくり直しを命じられることも多いけど、出せる料理が日に日に増えているのが実感できている。はじめはおしんこと塩辛くらいしかできなかったのが、今では刺身を引いて盛りつけまでしているのだから、自分の中では格段の進歩だ。
先日も、めったにぼくをほめない店長が、小肌のすじめの盛りつけを、きれいだといってくれた。自分でも、包丁の全体を使って丁寧に切ろうと意識し、また、つまの大根の盛り方や大葉ののせ方にも気を使った一皿だったので、その料理をほめてもらえたのはすごくうれしかった。
店長にほめられるだけでなく、自分がつくった料理をお客さんがぺろりとたいらげるのを見届けると、これが料理人の喜びかと心がわきたった。そうだ、自分はプロの料理人の第一歩を踏み出したのだと、身がひきしまる思いだ。
この日、ぼくが合羽橋をおとずれたのは、包丁ケースを買うためだった。先日、店長から包丁セットをいだたき、自分のものと合わせて包丁の数が5本になったので、整理するために、また持ち運びするときのために、包丁専用のアタッシュケースが必要になったのだ。
ちなみにいただいた包丁はこんな感じ。

Nさんにも同じものをあげたそうで、だとすれば店長の期待に応えるためよりいっそう努力しなければ……
しかし、結局この日は、気にいった包丁ケースがなかった。わるくないかなと思うものは2、3あったが、これだ、というものには出逢わなかった。
道具街をあとにし、上野まで歩く。アメ横のカードしたの大衆酒場で一杯やる。

生ビール(ホントは断然瓶ビール派なのだが、置いてないといわれた)を2杯と、マグロの刺身ともつ煮こみ、焼き物はかしらを塩で。
もつ煮こみはいまいちだったが、焼き物は弾力があってうまかった。塩のかげんもすばらしい。マグロの刺身の盛り方がきれいで、これはぜひ自分がやるときも取り入れようと思った。
30分ほどで店をあとにした。空が明るいうちに入ったのだが、店を出ると街は夜の入り口をすぎていた。
明日からまた仕事だ。やるぞ、と気合いを入れつつ家路につく。
いい休日になった。
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